高尿酸血症は生活習慣で予防できる!
健康診断で「尿酸値が高い」と言われたことはありませんか?
高尿酸血症は自覚症状がないまま進行し、放置すると痛風などの原因になります。
まずは、どんな病気なのか、そして予防のためにできることを知っておきましょう。
高尿酸血症(尿酸値が高い状態)とは?
尿酸は肝臓でプリン体が分解されるときにできる老廃物で、尿や汗、便と一緒に排泄されます。
通常は体内の尿酸量は一定に保たれています。しかし、次のようなときに尿酸が増えすぎることがあります。
・細胞からプリン体がたくさん作られる
・食べ物からプリン体をたくさん摂取する
・尿酸を体の外に出す力が弱くなる
こうして体内の尿酸が多くなると「高尿酸血症」という状態になります。
健康診断で尿酸値が7.0mg/dL以上だと「高尿酸血症」と診断されます。
なぜ尿酸値が上がるの?(高尿酸血症の原因)
高尿酸血症は、遺伝的素因(生まれながらの体質)に加えて、食事や生活習慣が大きく関係します。
プリン体を多く含む食品やアルコール、果糖(フルクトース)をたくさん摂ること、運動不足などが原因になります。
さらに、肥満やメタボリックシンドローム、慢性腎臓病などの病気も尿酸値を上げる要因です。
高尿酸血症を放置するとどうなる?
高尿酸血症が長く続くと、体内で溶けきれなくなった尿酸が体内で結晶化し、尿酸結晶が形成され、次のような病気を起こすことがあります。
・痛風(痛風関節炎、痛風結節)
・腎臓の障害
・尿路結石(尿の通り道に石ができる)
さらに、高尿酸血症は 肥満、メタボリックシンドローム、高血圧、脂質異常症、糖尿病などと一緒に起こりやすく、これらが重なると 動脈硬化を進め、心臓や脳の病気(心筋梗塞や脳卒中など)につながる危険があります。
高尿酸血症を防ぐためにできること
尿酸値が高いと言われても、何をすればいいのか迷う方も多いのではないでしょうか。
実は、毎日の生活習慣を少し工夫するだけで、予防や改善につながります。
ここでは、今日から始められるポイントをご紹介します。
治療の基本は生活習慣の改善
高尿酸血症の治療で一番大切なのは、生活習慣の改善です。
食事の見直し、飲酒を控えること、そして適度な運動を続けることが基本になります。
もし、痛風の症状がある場合や、合併症(腎臓の障害・尿路結石・高血圧・心臓病・メタボリックシンドロームなど)がある場合、または生活習慣を改善しても尿酸値が下がらない場合は、薬による治療が必要になることがあるので、病院を受診することをおすすめします。
今日から始める、3つの習慣
食事
①肥満の改善のために適正なエネルギー量を摂取しましょう
※1日の摂取目安は標準体重1kgあたり、
デスクワークが多い職業は25~30kcal/kg
立ち仕事が多い職業は30~35kcal/kg
力仕事が多い職業などは35kcal/kg
※標準体重:身長(m)×身長(m)×22
例)170cmの方なら…1.7×1.7×22=63.58 → 63.58kgが標準体重となります。
②プリン体の多い食品(レバー、白子、干物、魚卵など)を控えましょう
※プリン体摂取量:1日に400mg程度
③尿をアルカリ化し尿酸の排泄を促すには、野菜・海藻を中心に果物・乳製品(低脂質)・きのこをバランスよく摂取しましょう
※果物の1日摂取量目安:約200g程度(約80kcal)
例)グレープフルーツ(中):1個、バナナ(中):1本、リンゴ(中):1/2個、みかん(中):2個
④塩分の摂取を控えましょう
※塩分摂取量は1日6g未満が推奨されます。
⑤果糖(フルクトース)を含む清涼飲料水やジュースは控えましょう
⑥尿量を1日2リットル以上にすることを目安に水分を補給しましょう
※心臓や腎臓に病気がある方は飲水量の制限が必要な場合がありますので、主治医に相談してください。
⑦DASH食・地中海食が勧められます
【DASH食(Dietary Approaches to Stop Hypertension:高血圧予防食)】
高血圧予防のためにアメリカで考案された食事療法で、野菜・果物・低脂肪乳製品・全粒穀物を多く取り、塩分・飽和脂肪酸を制限する食事です。
血圧低下だけでなく、尿酸値の低下が報告されています。
【地中海食】
地中海沿岸の国々の人が食べている伝統的な料理で、野菜・果物・豆類・全粒穀物・魚介類・オリーブオイルを中心に肉類を少なめとしています。
飲酒制限
アルコールは控えめにしましょう。
※プリン体の含有量だけではなく、アルコール自体が尿酸の産生増加と排泄抑制に作用し尿酸値を上昇させます。

運動
ウォーキングや軽いジョギング、サイクリングなどの有酸素運動を、少し息が弾むくらいのペースで行いましょう。
1回の運動は10分以上を目安にして、1日合計30~60分程度、週に3回くらい続けるのがおすすめです。
※激しい運動(無理な筋トレや炎天下の運動など)は、血液中の尿酸値を上げてしまうため、有酸素運動が適しています。

まとめ:生活習慣が未来の健康を守る
高尿酸血症は、痛風や尿路結石、腎臓の障害を起こすだけでなく、生活習慣病とも深く関係していて、心臓や脳の重大な病気につながることもあります。
痛風の症状がなくても、高尿酸血症をそのままにせず、早めに対策することで痛風や合併症のリスクを減らせます。
まずは、食事や運動など生活習慣の改善から始めましょう。