「その高血圧、放っておいて大丈夫?」
高齢化や生活習慣の変化にともない、年々急増している“心不全”。
日本では、2030年には約130万人が心不全を患うと推計されています。その心不全の大きな原因のひとつが「高血圧」です。
誰にでも起こりうる心不全に備えて、今から血圧を管理する習慣を始めましょう!
心不全とは?
心不全にはA~Dのステージがあり「高血圧症」はそれだけでステージAに分類されます。
ステージAは心不全の入り口にあたる段階で「高血圧、糖尿病、肥満など心不全につながるリスクがあるがまだ心臓の病気や心不全症状がない状態」と定義されています。




一般的に「心不全」と認識されるのはステージC以降ですが、怖いのは、どのステージにいても心不全は進行する一方で、後戻りできないという点です。
自覚症状がないまま進むため、「自分には関係ない」と思っている人ほど注意が必要です。
健康診断で血圧以外に指摘がなく、息切れや動悸もないからと安心していても、高血圧は心不全の入り口です。最も大切なのは高血圧を甘く見ず、心不全を“進行させない”ことです。
知っておこう!高血圧の基準値

※診察室血圧は病院や診療所で測定された血圧のことで、家庭血圧は自宅で測定された血圧のことです。
一般的に家庭血圧の方がより普段の血圧を反映していると考えられます。
血圧140mmHgとはどれほどの力?
血圧とは「心臓から送り出された血液が血管の壁を押す力」のことです。たとえば「血圧140mmHg」とは、水銀柱を140mm(14cm)押し上げる力を意味します。
これは、かつて水銀柱の血圧計で測定していた名残で、単位としてそのまま使われています。
①水銀は水より13.6倍重い、②血液の比重は水の約1.05ということから…


つまり、血圧140mmHgは、血液を約180cmの高さまで押し上げる力に相当します。
それほどの強い圧力が全身の動脈の壁にかかり続けているということです。そしてその圧力は心臓に向かって押し返されるため、体内では非常に大きな力が絶えず働いていることになります。
自分の血圧を今から見直そう!
血圧管理には毎日決まった時間に測定することが重要です。体重計や体温計と同じように、血圧計も日々の健康チェックの一つとして習慣化しましょう。
毎日の測定によって、体調の変化や生活習慣の影響をいち早く察知することができ、病気の予防や早期発見につながります。
職場高血圧にも注意が必要!
朝晩は正常値でも仕事中だけ緊張やストレスで血圧が上昇するという人も少なくありません。
常に血圧が高い人と同じくらい危険であるにもかかわらず、本人がそれに気づいていないため、かえって危険な場合があります。
お昼休みや外出先で血圧計を見つけたときには気軽に測ってみましょう。思わぬ高血圧が見つかることがあります。
高血圧症の治療には「生活習慣の改善」や「投薬」があります。
日々の測定で血圧値に異常を感じたら、かかりつけ医やお近くの内科・循環器内科に相談しましょう!